筋肥大の科学:スクワット・懸垂を複数回に分けても効果はあるか?:「時間がない」は言い訳にしない:高頻度分割トレーニングで筋肥大を最大化する秘訣
スクワットを1日に複数回に分けて行っても、筋肥大効果は十分に期待できます。この方法は、筋肥大の科学的原則に沿っており、時間的制約がある人や、トレーニングの質を高めたい人にとって非常に有効な戦略となります。
日本の新潟大学と西九州大学、豪エディス・コーワン大学の共同研究によると、筋力トレーニングは週末にまとめて長時間行うよりも、毎日少しずつ行う方が筋力と筋肉量(筋肉の厚さ)の両方を効率的に向上させることが明らかになりました。
筋肥大の科学的根拠と分割トレーニング
筋肥大(hypertrophy)は、筋繊維が物理的なストレス(mechanical tension)と代謝ストレス(metabolic stress)によって損傷し、その後の回復期間に超回復(supercompensation)が起こることで、筋繊維が太くなる現象です。
- 物理的ストレス(筋損傷): 高負荷のトレーニングで筋繊維が微細に損傷すること。
- 代謝ストレス: トレーニング中に筋肉内に乳酸などの代謝産物が蓄積すること。
重要なのは、1回のトレーニングでこれらのストレスを十分に与え、その日の総負荷量(total training volume)を最大化することです。一日の総負荷量は、「重量 × 回数 × セット数」で計算されます。
スクワットを複数回に分けて行う場合、たとえば朝・昼・晩にそれぞれ1〜2セットずつ行うことで、一日の総負荷量を落とすことなく、むしろ増やしやすくなります。これは、1回のセッションで全力を出し切る必要がないため、個々のセットでより質の高いフォームを維持し、筋肉への刺激を最大化できるからです。
分割トレーニングのメリットと注意点
メリット
- 疲労の分散と集中力の向上: 一度に多くのセットをこなすと、後半は疲労でフォームが崩れがちです。分割することで、各セットに集中でき、狙った筋肉(大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋)への効果的な刺激を与えられます。
- 総負荷量の増加: 複数回に分けることで、合計のセット数を増やしやすくなり、結果として筋肥大に不可欠な総負荷量を高めることができます。
- ホルモン環境の最適化: 筋トレ後のテストステロンや成長ホルモンの分泌は、トレーニング後24〜48時間持続すると言われています。短時間・高頻度のトレーニングは、これらのアナボリックホルモン(同化作用のあるホルモン)の分泌を継続的に促す可能性があります。
注意点
- 十分な回復: 分割して行う場合でも、次のセッションまでに最低でも数時間の休息を確保し、筋肉が完全に回復する時間を考慮しましょう。
- 栄養と睡眠: 筋肥大には、トレーニングだけでなく、十分なタンパク質摂取と質の良い睡眠が不可欠です。分割トレーニングの場合も、これらの要素を怠らないことが大前提となります。
懸垂(プルアップ)の場合
懸垂もスクワットと同様に、一日に複数回に分けて行うことで、筋肥大効果を期待できます。
懸垂の分割トレーニングの利点
懸垂は広背筋や上腕二頭筋、僧帽筋など、複数の筋肉を同時に鍛える複合的なトレーニングです。特に、体重を利用するため、疲労が溜まりやすく、セット後半では回数が減りがちです。
- 回数の増加: 1回のセッションで5回しかできない人でも、午前・午後・夜に1セットずつ行うことで、1日の合計回数を大幅に増やすことができます。例えば、「5回 x 3セット」から「5回 x 5セット」に増やすことも可能です。
- フォームの改善: 疲労による反動や代償動作(肩甲骨が使えないなど)を減らし、広背筋への意識を高めることができます。
具体的な分割トレーニング例
- スクワット: 朝に2セット、昼に2セット、夜に2セット。各セット10〜15回。
- 懸垂: 朝に限界回数、昼に限界回数、夜に限界回数。
- 筋力向上を目指す場合: morning: 5回 x 3セット、evening: 5回 x 3セット。
このように、トレーニングを分割することは、総負荷量を増やし、各セットの質を高めるための有効な手段です。忙しい日々の中でも、継続的に筋トレを行い、理想の身体を手に入れるための戦略として、ぜひ取り入れてみてください。
分割トレーニングの科学的根拠:量より頻度
筋力トレーニングは、週末にまとめて長時間行うよりも、毎日少しずつ続ける方が筋力と筋肉の厚さの両方を効率的に向上させることが、日本の新潟大学と西九州大学、豪エディス・コーワン大学の共同研究によって明らかになりました。
この研究は、腕の抵抗運動を異なる頻度と回数で行う3つのグループを4週間にわたって比較しました。
- グループ①:1日6回のトレーニングを週5日(合計30回)
- グループ②:1日30回のトレーニングを週1回(合計30回)
- グループ③:1日6回のトレーニングを週1回(合計6回)
その結果、以下のことが判明しました。
- グループ②は筋肉の厚さが増加したものの、筋力向上は見られませんでした。
- グループ③は筋力・筋量ともに変化なしでした。
- グループ①は、グループ②と同様に筋肉の厚さが増加しただけでなく、筋力が10%以上も大幅に向上しました。
この結果は、トレーニングの「頻度」が「量」よりも筋力向上に重要であることを示しています。研究者は、このアプローチが他の筋肉にも当てはまると考えています。
また、筋肥大のためには休息が不可欠です。筋肉は、トレーニング中に損傷し、休息中に修復・成長するため、週に数日の休養日を設けることが重要です。毎日少しずつ運動する方が効果的なのは、筋肉がより頻繁に刺激されることを好むためだと推測されています。
したがって、忙しい人にとって、ジムで長いセッションを行うことよりも、自宅で毎日ほんの少しのエクササイズを習慣化することが、より効果的な筋力向上への道と言えるでしょう。
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