📝 テロ対策庁は実在しない?行政書士試験の『もっともらしいウソ』を見抜く裏技:令和5年度過去問分析
行政書士試験の「政治・経済・社会」は範囲が膨大ですが、「ひっかけのパターン」は共通しています。令和5年度の問47〜50を例に、合格レベルの知識を網羅的に整理しましょう!
📌 本記事でマスターする重要事項・関連法規
令和5年度の問47〜50は、行政書士試験において「得点源」にすべき基本問題が凝縮されています。本記事では、試験対策として以下の「絶対暗記項目」を軸に解説します。
- 主要国首脳会議(G7):構成国とEU、日本の歴代開催地
- テロ対策特別措置法:9.11同時多発テロ以降の法整備
- 組織犯罪処罰法:2017年改正「テロ等準備罪」の意義
- サイバーセキュリティ基本法:高度化する脅威への法的枠組
- ASEAN(東南アジア諸国連合):原加盟5カ国と地域情勢
- ドイモイ政策:ベトナムの市場経済化と一党支配の維持
- 法人税法:比例税率の原則と近年の税率推移
- 外形標準課税:法人事業税における事業規模課税の仕組み
- BEPS(税源浸食と利益移転):OECDによる国際課税ルール
- 地方法人税:地域間の税収偏在を是正する国税の役割
※「テロ対策庁」や「サミットのダボス開催」など、試験で頻出する"架空の事実"を見抜く力を養いましょう。
演習 令和5年度 本試験問題【政治・経済】
【問47】 政治:主要国首脳会議(G7サミット)
いわゆるG7サミットに関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1.2023年現在、7ヵ国のみの首脳が集まる会議であり、EU首脳は参加していない。
- 2.議長国の任期は1年間で、事務レベルの準備会合等を通じて議事進行を行う。
- 3.2023年の議長国はアメリカであり、日本は過去7回議長国を務めた。
- 4.第1回サミットは1975年に開催されたが、日本が参加したのは1979年からである。
- 5.開催地は、かつてはスイスのダボスに固定されていた。
【問48】 政治:日本のテロ対策
日本のテロ対策に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
- 1.日本が締結した最も古いテロ防止条約は、1970年の「航空機内の犯罪防止条約」である。
- 2.2001年の同時多発テロをきっかけに「テロ対策特別措置法」が制定された。
- 3.2015年、サイバーテロ対策の一環としてサイバーセキュリティ戦略が閣議決定された。
- 4.2017年の改正により、いわゆる「テロ等準備罪」が新設された。
- 5.安倍元首相銃撃事件をきっかけとして、内閣府に「テロ対策庁」が設置された。
【問49】 政治:東南アジア情勢
1960年代以降の東南アジアに関する記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。
イ.ベトナムは、1986年からペレストロイカ政策のもとに市場開放を進めた。
ウ.ラオスでは、1993年の総選挙で元国王を支援する勢力が勝利し王制が復活した。
エ.インドネシアでは、1998年にスハルト政権が倒れて民政に移管した。
オ.ミャンマーでは、2021年にクーデターが発生し、軍部が全権を掌握した。
【問50】 経済:日本の法人課税
日本の法人課税に関する記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。
イ.子育て支援の財源とするため、近年、法人税の税率が引き上げられた。
ウ.地方自治体が課税する法人事業税には、外形標準課税も導入されている。
エ.日本も、多国籍企業の課税逃れに対処する「BEPSプロジェクト」に参加している。
オ.法人住民税等の地域間偏在を是正するための一部国税化が行われたことはない。
※出典:一般財団法人行政書士試験研究センター 令和5年度試験問題より引用・加工
【問47】G7サミット(主要国首脳会議)の急所
サミットの問題では「参加国」「日本の役割」「歴史」が頻出です。
1. 参加メンバーの勘所
- EUの参加: フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダの7カ国に加え、EU(欧州連合)首脳も参加しています。
- 議長国の任期: 1月〜12月の1年間。事務レベルの「シェルパ会合」や閣僚会合を通じて準備を行います。
2. 日本の開催実績と歴史
日本は1975年の第1回(フランス・ランブイエ)から参加しています。「途中参加」という記述は誤りです。また、2023年の議長国は日本(広島)でした。
開催地が「ダボス」に固定されているという選択肢が出ますが、これは誤り。ダボス会議は民間主導の「世界経済フォーラム」であり、G7とは無関係です。
【問48】日本のテロ対策と法整備
事件と法律の「対応関係」と「時期」をセットで覚えましょう。
1. 国内法と国際条約の歴史
- 最古の条約: 1970年締結の「航空機内の犯罪防止条約」。
- 9.11の衝撃: 2001年の同時多発テロを受け、「テロ対策特別措置法」が制定。
- テロ等準備罪(2017年): 国際組織犯罪防止条約(TOC条約)締結のために新設されました。
2. 現代のテロ対策
2015年には「サイバーセキュリティ基本法」に基づく戦略が閣議決定されるなど、IT分野の対策も強化されています。
2022年の安倍元首相銃撃事件後、警備体制は見直されましたが、「テロ対策庁」は設置されていません。 行政書士試験では、もっともらしい「架空の役所」がよく登場します。
【問49】東南アジア諸国の近現代史
国名と政策名の「入れ替え」を見抜く力が問われます。
1. ASEANと周辺国の動向
| 項目 | 内容のポイント |
|---|---|
| ASEAN結成 | 1967年、タイ・フィリピン・インドネシア・マレーシア・シンガポールの5カ国でスタート。 |
| ベトナム | 1986年より「ドイモイ(刷新)政策」を推進。※ペレストロイカはソ連! |
| カンボジア | 1993年、総選挙を経て王制が復活。※ラオスではありません。 |
| ミャンマー | 2021年、軍部によるクーデターが発生。 |
【問50】法人税と地方財政の仕組み
経済分野は「数字」と「トレンド」が重要です。
1. 法人税の基本ルール
- 累進税率ではない: 法人税は原則として一律の「比例税率」です(個人所得税は累進)。
- 増税ではない: 近年の日本の法人税率は、国際競争力維持のため引き下げ傾向にあります。
2. 地方税と国際的な取り組み
- 外形標準課税: 所得(利益)だけでなく、資本金や付加価値にも課税する仕組み。大企業が対象。
- BEPS(ベップス): 多国籍企業の課税逃れを防ぐ国際プロジェクト。日本も参加。
- 偏在是正: 都会と地方の税収格差を埋めるため、法人税の一部を国税化して配分する改革は何度も行われています。
💡 120点取るための「要点まとめ」
- サミット: 日本は第1回から参加。EUも参加。2023年は広島。
- テロ対策: 「テロ対策庁」は存在しない!法律名と事件をリンクさせる。
- 東南アジア: ベトナムは「ドイモイ」。カンボジアは「王制復活」。
- 法人税: 比例税率(一律)であり、近年は引き下げ傾向。BEPSは課税逃れ対策。
★合格への一歩: 行政書士試験の「基礎知識」は、「事実と逆のことが書かれていないか」を常に疑う姿勢が重要です!
☕ おわりに:本問から読み解く「基礎知識」の攻略法
令和5年度の政治・経済・社会の問題を振り返ると、行政書士試験特有の「出題のクセ」が顕著に表れています。単に用語を覚えるだけでなく、以下の3つの背景知識を意識して整理しておくことが、足切り回避、そして高得点への近道です。
9.11テロ(旧)と安倍元首相の事件(新)、あるいはASEAN結成(旧)とミャンマークーデター(新)のように、歴史的経緯と最新トピックをセットで問うのが近年のトレンドです。
今回の「テロ対策庁」のように、ニュースで話題になった言葉を組み合わせて「もっともらしいウソ」を作るのが試験委員の常套手段です。公的機関の公式サイト等で正確な名称を確認する癖をつけましょう。
また、法人税やG7といったテーマは、「日本が世界の中でどのような立ち位置にいるか(国際協力・競争)」という視点から出題されます。「なぜこの法律ができたのか?」「なぜこの会議が必要なのか?」という背景(ストーリー)を理解すると、記憶は一気に定着します。
基礎知識は「広く、浅く、かつ正確に」。
この積み重ねが、本試験での「あと一押し」の1問に繋がります。合格まであと少し、一緒に頑張りましょう!
🎴 暗記必須!重要用語フラッシュカード
マウスを乗せるかタップすると答えが表示されます
日本も最初から参加
事前協議を行う個人
をきっかけに制定
TOC条約締結のため
内閣に戦略本部を設置
日本が締結した最古のテロ条約
原加盟5カ国
市場経済化・門戸開放
の政治・経済改革
「立憲君主制」として王制復活
※所得税は累進税率
「引き下げ」傾向
を基準とする法人事業税
(利益移転)を防ぐOECDの枠組
地方交付税の財源になる
※G7ではない(民間主導)
スハルト政権崩壊の引き金
アウンサンスーチー氏拘束
⚠️ 禁断のひっかけ打破!一問一答テスト
問題文を読んで「正誤」を判断してから、カードを確認してください。
EUの参加は1977年からです(日本は第1回から)。細かいですが「最初からいたか」は頻出のひっかけ!
議長国の任期は1年間。事務レベルの調整役は「シェルパ」と呼ばれます。
「テロ対策庁」という組織は実在しません。警察庁の警備体制は見直されましたが、庁の新設はウソです。
2017年の組織犯罪処罰法改正によるものです。目的と法律名をセットで覚えましょう。
用語のすり替えです。ベトナムは「ドイモイ(刷新)」。ペレストロイカはソ連の政策です。
ラオスとの入れ替えに注意!ラオスは現在も社会主義体制です。
法人税は「比例税率(一律)」です。累進税率なのは個人の「所得税」!超重要ポイントです。
OECDが提唱。国境を越えた利益移転(Base Erosion and Profit Shifting)を防ぐためのものです。
※全問正解できるまで繰り返しチェック!
📖 本試験登場用語:完全網羅ガイド
🌍 主要国首脳会議(G7サミット)
- 1. G7の構成国
- 仏・米・英・独・日・伊・加の7カ国。1990年代後半からロシアが加わりG8となったが、2014年のウクライナ情勢(クリミア併合)を受け、現在はロシアの参加が停止されG7に戻っている。
- 2. EU(欧州連合)の参加
- 1977年からオブザーバーとして首脳会議に参加。「7カ国のみ」という記述は試験での定番ひっかけ。
- 3. 議長国とシェルパ
- 議長国は持ち回りで1年間(1〜12月)務める。首脳の代理人として事前調整を行う実務者を「シェルパ」と呼ぶ。
- 4. ダボス会議
- 世界経済フォーラム(WEF)が主催する民間会議。G7サミットとは主催も目的も異なるが、混同を誘う選択肢として登場する。
🛡️ 日本のテロ対策・法整備
- 5. 航空機内の犯罪防止条約(東京条約)
- 1963年作成。航空機内での犯罪抑止を目的とする。日本が締結したテロ関連条約の中で最も古い歴史を持つ。
- 6. テロ対策特別措置法
- 2001年の米同時多発テロを受け制定。自衛隊が諸外国の活動に対して補給や輸送などの後方支援を行うことを可能にした(現在は失効)。
- 7. サイバーセキュリティ基本法
- 2014年制定。重要インフラへのサイバー攻撃を防ぐための国の責務を規定。内閣に「サイバーセキュリティ戦略本部」が設置された。
- 8. 組織犯罪処罰法(テロ等準備罪)
- 2017年改正。国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結に必要な「共謀罪」の構成要件を厳格化したものとして新設。計画と準備行為があった場合に処罰される。
🌏 東南アジア情勢
- 9. ASEAN(東南アジア諸国連合)
- 1967年設立。現在は東南アジアのほぼ全域(10カ国、東ティモールは加盟手続き中)が加盟。内政不干渉と全会一致が原則。
- 10. ドイモイ(刷新)政策
- ベトナムが1986年から進める経済改革。一党支配を維持しつつ市場経済を導入。中国の「改革開放」に近い政策。
- 11. ペレストロイカ(再構築)
- ソ連のゴルバチョフが推進した改革。情報の公開(グラスノスチ)とセットで、ソ連崩壊のきっかけともなった。
- 12. カンボジアの内戦と王制復活
- 長年の内戦を経て、1991年のパリ和平協定、1993年の総選挙を経てシハヌーク国王が復位し王制が復活した。
- 13. アジア通貨危機
- 1997年、タイの通貨バーツの急落から始まった経済危機。インドネシアなど周辺国に波及し、スハルト政権崩壊を招いた。
- 14. ミャンマークーデター
- 2021年、国軍がアウンサンスーチー氏を拘束し政権を奪取。現在も軍事政権に対する市民の抵抗が続いている。
📈 経済・日本の法人課税
- 15. 法人税(所得課税)
- 会社の「儲け(所得)」に対して課される国税。所得税(累進税率)と異なり、原則として**比例税率(一律)**が適用される。
- 16. 累進税率 vs 比例税率
- 累進:所得が多いほど高い税率(所得税・相続税)。比例:金額に関わらず一定の税率(法人税・消費税)。
- 17. 法人事業税
- 法人の事業活動に対して課される地方税(都道府県税)。
- 18. 外形標準課税
- 利益が赤字でも、資本金や給与総額などの「外から見える規模」に対して課税する仕組み。大企業を対象に導入されている。
- 19. BEPSプロジェクト
- Base Erosion and Profit Shifting。多国籍企業が税率の低い国へ利益を移転させる「課税逃れ」を防ぐためのOECDによる国際協力枠組み。
- 20. 法人住民税
- 法人が所在する自治体の行政サービス費用を分担するもの。都道府県民税と市町村民税がある。
- 21. 地方法人税(国税)
- 2014年創設。地域間の税収格差を是正するため、一度国が法人から集め、地方交付税の財源として地方へ再分配する仕組み。
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