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アイソザイム(Isozyme, イソ酵素)


イソザイム(Isozyme;アイソエンザイム Isoenzymeともいう)とは、酵素(enzyme)としての活性がほぼ同じでありながら、タンパク質分子としては別種である(アミノ酸配列が異なる)ような酵素をいう。生化学においては、アイソザイムは酵素のアイソフォームである。

アイソザイムについて厳密には、全く別の遺伝子に由来する狭義のアイソザイムと、同じ種類の遺伝子(ただし別の個体の遺伝子、または同一個体中の対立遺伝子であって、配列がわずかに異なる)に由来するアロザイム(Allozyme)に分けられるが、いずれもまとめてアイソザイムと呼ぶことが多い。

狭義のアイソザイムには、個体の発達に伴って比率が変化する(例えば乳児と成人とで種類が異なる)ものもある。

また血液中の酵素には疾患によってアイソザイムの比率が変化するもの(代表的なものとして逸脱酵素の乳酸脱水素酵素(LDH)など)もあり、アイソザイムの分析は疾患の種類や部位を特定する上で重要である。

アイソザイム分析法としては、酵素阻害剤による活性の変化、分子量や等電点(電気泳動を用いる)、抗原抗体反応によるものなどが用いられる。

アイソザイムは遺伝子型を反映しているので、間接的な“遺伝子マーカー”として利用できる。そのためアイソザイム分析は、1960年代以降、生物の分類や、個体・個人の遺伝的性質に関する研究などに盛んに用いられた。また多数の個体をまとめて電気泳動にかけて分析することで遺伝子頻度の計算が比較的容易に可能であるため、集団遺伝学のツールとしても盛んに用いられている。現在では、より直接的に目的の遺伝子DNAまたは遺伝子マーカーを調べる方法(分子分類学、DNA鑑定など)にとって代わられつつある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%A0


Isozymes (also known as isoenzymes or more generally as multiple forms of enzymes) are enzymes that differ in amino acid sequence but catalyze the same chemical reaction. These enzymes usually display different kinetic parameters (e.g. different KM values), or different regulatory properties. The existence of isozymes permits the fine-tuning of metabolism to meet the particular needs of a given tissue or developmental stage. In biochemistry, isozymes (or isoenzymes) are isoforms (closely related variants) of enzymes. In many cases, they are coded for by homologous genes that have diverged over time. Although, strictly speaking, allozymes represent enzymes from different alleles of the same gene, and isozymes represent enzymes from different genes that process or catalyse the same reaction, the two words are usually used interchangeably.

https://en.wikipedia.org/wiki/Isozyme



イソチーム,アイソエンザイム isoenzyme,イソ酵素ともいう。同位酵素のこと。従来は均一の成分と考えられていた酵素は,蛋白分画技術の進歩によって,いくつかの成分に分離されることがわかってきた。そこで,酵素としての働きは同じでも,電気泳動法などの分離方法によって分類すると,分子構造や物理・化学的性質などの異なる一群の酵素をアイソザイムと名づけた。たとえば血清中の乳酸脱水素酵素 (LDH) は5種類のアイソザイムに分けられ,病気によって組織細胞に含まれるアイソザイムの種類が異なるため,どのアイソザイムが高値になっているかを調べれば,異常のある臓器が推定できる。
https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%A0-23742


[問題]アイソザイムとは何か説明せよ。

[解答]アイソザイムはMarkert & Mollerにより提唱された概念であり、"同一個体内に存在する酵素で、同一反応を触媒するが、蛋白質としては異なる分子のもの"と定義されている。すなわち、触媒作用は同じであるが、分子構造、物理化学的性状の異なった一群の酵素のことである。狭義的には異なった遺伝子座から生じた2種のサブユニットの組み合わせにより生じた酵素群であるが、臨床的には電気泳動上で2種以上の活性帯と認識された場合には、これらをアイソザイムとして取り扱っている(厳密には"酵素の多様性(Multiple Forms of Enzymes)"として区別する諸家もいる)。このため、定義のような同一遺伝子産物のうちで翻訳後修飾を受けた酵素類もアイソザイムと呼んでいる。

[問題]アイソザイムの存在理由は何か。

[解答]生体内に数種のアイソザイムが存在する理由ははっきりしないが、そのアイソザイムの存在する組織もしくは細胞内での酵素活性を発揮するのに適した形の酵素が必要なためと一般的に考えられている。すなわち、例えば乳酸脱水素酵素(LDH)には5つのアイソザイムが知られているが、LDH1(H4)は心筋に、LDH5(M4)は肝臓に多量に存在している。これは、心臓のように持続的な活動を電子伝達系のATP産生に依存している臓器では、ピルビン酸をLDHにより還元して乳酸とするではなく、好気的条件下でピルビン酸をTCA回路に導き、多くのATPを産生させエネルギー源とする方がよい。そして、このためにはピルビン酸で活性が阻害され易いLDH1が合理的である。一方、骨格筋のように嫌気的条件下での解糖系にエネルギー源を依存している組織ではピルビン酸濃度が多少多くても触媒作用を示すLDH5の存在が合目的で都合がよい。  このように、生体内の組織・細胞は生体の恒常性を維持し、生命活動をするのに最適な条件を持っており、この条件は組織・細胞により異なる。このため、1種類の条件下でしか働かない酵素ではこれらに対応できず、スムースな生命活動維持のためには異なる条件下でも十分働くように、数種のアイソザイムが必要となる。



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