膨圧(Turgor pressure)は、植物、菌類、細菌、細胞壁を持つ原生生物において、細胞膜を細胞壁に押し付ける圧力である。
膨圧は、濃度の低い細胞の外側から濃度の高い細胞の液胞内に水を浸透させることによって発生する。健康な植物細胞は膨らんでおり、植物は膨圧によって堅さを維持している。対照的に、この現象は、水の流入による細胞溶解から保護してくれる細胞壁を持たない動物細胞では見られず、収縮胞で常に水を汲み出し続けるか、浸透圧のかからない等張の細胞外液中で生活する必要がある。
浸透として知られる物理現象によって、低濃度の領域から高濃度の領域に、2つの領域の濃度が等しくなるまで水が流れこむ。通常、溶質は平衡になるように拡散するが、全ての細胞は脂質二重層の細胞膜に囲まれており、これは水の出入りは許すものの溶質の流れは制限している。結果として、細胞が低張環境中に置かれると、水が膜の中に流れ込み、細胞の体積が増加することになる。
最終的に、細胞膜は拡張し、細胞壁を押す。この状態が膨圧である[1]。等張液の場合、水は、流入と同じ速度で流出する。細胞壁が細胞壁を押す圧力が弱まり、細胞は「しおれた」状態になる。細胞が高張液中に置かれた場合、細胞内の水分が環境中に流出する。これが原形質分離の状態であり、細胞膜が細胞壁から離れ、植物がしおれる原因になる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%86%A8%E5%9C%A7
2001センター本試験
問 オーキシンを含む溶液に浮かべた茎の切片は,オーキシンを含まない溶液に浮かべた切片に比べて,伸長が促進された。そのとき,オーキシンを含む溶液に浮かべた切片の細胞の浸透圧は増加しなかった。オーキシンが伸長成長を促進する仕組みとしては,どのようなことが考えられるか。最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 細胞壁をかたくして,膨圧を増大させる。
② 細胞壁をゆるめて,膨圧を増大させる。
③ 細胞壁をかたくして,膨圧を低下させる。
④ 細胞壁をゆるめて,膨圧を低下させる。
正解は④の「細胞壁をゆるめて,膨圧を低下させる」であるが,前半の“細胞壁をゆるめて”は直感的にわかりやすい。水が細胞内に入って細胞壁を押すわけだが,細胞壁がゆるいと容易に押し広げられる。すなわち細胞は膨らむ。だが後半の“膨圧を低下させる”はどうだろうか。私は,これは高校教科書の記述=一般的な解釈に反していると思う。センターの出題者は,後半の“膨圧を低下させる”だけでは難しすぎるので前半の“細胞壁をゆるめて”を加えたのではないだろうか。①や②の“膨圧を増大させる”はあきらかにひっかけようとしていると感じる。
この矛盾に満ちた背景のカギは同じく高校教科書に載っている次の公式にある。
吸水力=細胞の浸透圧-膨圧
植物細胞が膨らむのは,吸水力が増して水の取込みを始めるからだが,吸水力を増す方法は,公式から次の2つあることがわかる。
A:細胞の浸透圧を高めるB:膨圧を低める
もちろん,ここではBに注目する。膨圧が低下すると細胞が膨らむのである。そしてこのことは高校教科書レベルであり,センターの範囲でもある。問題文中にある“細胞の浸透圧は増加しなかった”も上記の公式を意識しているからだろう。
https://ameblo.jp/s-20110807/entry-11393416148.html
原形質分離(げんけいしつぶんり、英語:plasmolysis)とは、植物細胞の細胞壁と細胞膜が高張液下で分離する現象を指す。
細胞膜は半透性を持ち、水を通す。細胞外の浸透圧が細胞内の浸透圧よりも高い場合、細胞内から細胞外へ水が出て、細胞膜に覆われた部分(原形質)は収縮する。しかし細胞壁は変形しにくいので、細胞膜に覆われた部分のみが収縮し、細胞膜は細胞壁から分離する。
動物細胞には細胞壁がないので原形質分離は起こらない。単に全体が収縮するだけである。
原形質分離は、植物細胞における細胞膜の存在を示す現象でもある。動物細胞は細胞膜にのみ覆われているが、植物細胞はその外側に細胞壁がある。細胞膜は光学顕微鏡では確認できず、電子顕微鏡によってはじめて具体的に確認された構造である。そのため古くは、植物における細胞壁を植物の細胞膜と呼んだことがある。原形質分離は植物の細胞膜(細胞壁)の下に原形質の表面を覆う薄い膜が存在することを示す現象と考えられ、これを原形質膜と呼んだ。現在ではこれが植物の細胞膜であることがわかり、動物細胞・植物細胞とも薄い細胞膜に覆われていると認識されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%BD%A2%E8%B3%AA%E5%88%86%E9%9B%A2
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